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[コメント] 2人のローマ教皇(2019/英=伊=アルゼンチン=米)

地味な映画だが妙に感動してしまった。
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







羊たちの沈黙のレクターを演じたアンソニー・ホプキンスがローマ教皇!まったく大したキャスティングだ。カトリック教徒にとっては教皇は日本人にとっての天皇。一体西洋人は何を考えているんだ。教皇の生前譲位は平成天皇の皇位継承と同じ一大事で、その経過を映画にしてしまう。それも事実とフィクションをうまく融合させて。このやり方はワンス・アポンナタイム・イン・ハリウッドと同じようだ。it is a true storyモノ。

この2人の教皇の会話が大変面白い。人々の罪の告解をうける教皇自身も教皇に告解するんだ。神父は神のエージェントだから可能なんだ。こういう小さな驚きがあちこちに散りばめられていて退屈しない。私は葬式仏教(多分浄土真宗)の日本人庶民だが、縁あって晩年カトリックミッション校に奉職することになって15年。身近に日本人信者に接していると自分のカトリックに対する考えを日々の実例で更新する立場になった。

例えば、職員が不幸にあったときに朝会で報告があり、そのあとで「お祈りください」と普通に言う。そう言う事に驚く。「お亡くなりになりました」ではなく「帰天しました」。今回の教皇来日だと特別時間割で上級生は東京ドームのミサに行った。もちろん信者の教職員はこぞっていった。ミッション校には特別の配当席があって一般信徒はとても入れない。

ビートルズだったりサッカー観戦だったり、フィクションの部分では随分と一般人寄りで親しみが湧くように撮られている。 この映画は大変面白かったと信者の職員に話すと、なんだか微妙な反応だった。教皇様実際のドキュメンタリーではなく、俳優が演ずるドラマになっていることにどうも「不敬」の匂いを感じているようなのだ。そういうことも含めて、主張の違う教皇同士の和解の物語(当然、それは神に導かれている)としても見られるこの映画は私には久しぶりの見てよかったと思える作品だった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)プロキオン14[*]

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