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[コメント] リービング・ラスベガス(1995/米)

例えて言うなら、どん底と奈落の底の違い。横たわるニコラス・ケイジに注目。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







どん底は這い上がれるところ。奈落の底は姿かたちが見えなくなってしまうところ。

個人的には、どん底に落ちるために(這い上がるために)酒を必要とする感覚はわかるが、主人公ベンのように死ぬために飲みつづける心境はよくわからない。決して美味しくないだろうし、気持ちもよくないだろう。サラは、我々鑑賞者も含めた他の誰よりもベンの気持ちがわかる存在として描かれていたようだが、その彼女にもどうすることが出来なかった。

想像の範囲で言うなら、ベンは、五臓六腑、足、手、頭、体中の痛みを感じては飲み、飲んでは痛みを求める。酒や女やギャンブルではなく、「痛み」こそが全てを忘れさせてくれる、そんな心境だったのではないだろうか?

生命の最後の姿を素晴らしく表現したニコラス・ケイジ。ベッドは地上から奈落の底にかわる。その刹那の彼の体の震えは私に乗り移りそうだった。

痛みのない人間なんかいない。みんなそれでも生きている。しかし、決して同情を求めないベンの最後は否定できない。サラの気持ちもわかるが、私ならそのまま何もせずに見守ることになるだろう。

(評価:★4)

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