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[コメント] アンダーグラウンド(1995/独=仏=ハンガリー)

ユーゴにこんなに素晴らしい才能があったとは!!脱帽です。 ストーリー、役者、音楽、監督のスパイス、すべて揃っているのでは?
skuni55

悲劇にして喜劇。非常に重いテーマのストーリー。 狂った人々。熱い役者たち(この映画を観るまで誰も知りませんでした)。 そして全編に絶えず流れるブラスバンドのちょっと悲しい音楽。 映画とは かくもすばらしいものか、と感じさせてくれる映画だと思います。

なんと言っても強烈な役者たちがいい。 親分肌で、ずっと騙され続けるクロ(セルニ?)、要領が良く、アンダーグラ ウンドの演出者マルコ、バカで移り気なナタリア、心優しくてちょっと頭 が弱いイヴァン。 (血液型は、クロ:O型、マルコ:A型、ナタリア:B型か?) 特に(男として感じるのは)ナタリアのあの愛くるしくてブチ切れた性悪女の 演技。そこらの有名女優にはできないのではないかと。 この映画では、持ち前の美しさに加え彼女の魅力が爆発してると思っています。

ところどころに出てくる人間も持ち味を出しています。 最初のシーンでのあまり綺麗でない娼婦。(なんでこいつを選ぶんや!と 言いたくなる。)個性的な楽団の面々。 劇場のシーンでの演出者(?)の、劇に陶酔した表情。 精神病院での患者たち。映画の撮影シーンでの暑苦しい監督。など。

監督が演出するスパイス。 なんと言っても素晴らしい劇場のシーン。 初めは「お酒は飲めないの」言いつつ、その後アル中気味になるナタリア。 頭で酒瓶を割り、ドッグフードを好んで食べ、ハイヒールで叩かれることに 感じるマルコ。なぜか重要な役を担うソニ(猿)。など。

最初から最後までガンガン流れる音楽。 主な曲は何度も流れ、また、ロシア音楽がちょっと悲しい。 最初のシーンからグッとひきつけてくれます。 映画を観終わってからも耳に付いて離れません。

そして、イヴァンが(まともに)静かに語るラスト。 身障者も、死んだ人間も、裏切った人間も、嫌いだった人間もすべて許し、 正常になり、狂喜乱舞するラストシーン。 人間のネガティブな部分をさらけ出し、それらをすべて包含した上で許す。 戦争という究極の状況の中で、なんと人間の愚かさ、奥深さを表している のでしょうか。 そして、切り離された土地と「この物語に終わりはない」のコメント。 もしかすると日本人には理解し得ない感情なのかもしれません。

いやー、とても語り尽くすことはできませんね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ロープブレーク[*] 埴猪口[*]

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