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[コメント] 兵隊やくざ 強奪(1968/日)

大宮一等兵が吐き捨てる「ニッポンは負けたが俺が負けた訳じゃねぇ」。そして勝新太郎が言う「人間の子だ!」
sawa:38

廃墟に捨てられた赤ん坊の処遇について田村高廣扮する有田上等兵が言う「この子は満(州)人の子か日本人の子かわからないんだぞ?」

これに応える勝新太郎が言う「人間の子だ!」と・・

この時の勝新太郎は本シリーズで演じてきたコメディタッチの大宮一等兵の姿ではないように見えた。シリーズを通して初めてと思われる有田への反抗だった。これまで軍部の非人間性を強調してきたシリーズで初めてストレートに「人間性」を声だかに訴えたシーンであった。

これまではどこの部隊からもお尋ね者で脱走を繰り返してきたふたりだった。だが、見知らぬ大陸で同じ言葉を話す集団がいつもどこかにいた。妙な安心感。しかし、戦争が終わり戦後の混乱で日本人が逆に狩られる立場になった本作。彼等ふたりは本当に孤独になった。そんな時に拾った赤ん坊ひとり。母は死んだのか、それとも逃げ出したのか。

孤独感が全編を覆う異色作になった本作。大映でのシリーズは本作が最後になる。ちなみに次回作は勝プロ制作のカラーバージョンだそうだ。本作の「哀しみ」を引きづらなければ良いのだが。

(評価:★4)

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