斬新っぽいカメラワークや映像だが、どれも何だかダサくて垢抜けない感じで、しかもオシャレや意図でも何でもなく単に“古臭さ”だけが前面に出ている。昔の土曜ワイド劇場みたい。「これが映像化不可能な作品なの？これが？」と思わずナメてしまうような出来。原作未見だが、あまり生かされてはいないんだろうな。この映画からはシリーズ化するような人気のある原作だという魅力は感じない。パンフレットやポスターヴィジュアルにもなったキャラクター毎のショットの青みがかったミステリアスな洗練された映像だったなら、こんな退屈な出来にもならなかったような気もする。“現代人が描いた昔めのサスペンス”を映像化するのには、実相寺監督では年を取りすぎていたのかもしれない。

キャストはなかなか良かったが、原田知世だけは腹立たしいほどいただけない。彼女のせいで緊張感や盛り上がりがそがれたと言っても過言ではないところが多々あった。喋らなければいいんだが……。まぁ、これはキャスティングした人間にも問題はあると思うが。堤真一は声が耳障りだったが、後半からは結構心地よくなった。永瀬も良かったし、阿部ちゃんもいつも通りで。ただ、目が悪いのはちっとも判らなかった。

全体的につまらなくもなかったが、退屈なシーンが多すぎる。盛り上がりもなかったし。篠原涼子の傘で隠してた顔を、モロ見せしてる感覚にも共感できず……。

内容は面白そうなのだが、次回映画化する際には監督を代えて欲しい。これで続編を作られたら、正直ツライ。