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[コメント] 機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者(2005/日)

昔の思いが蘇るか?とか言う期待もちょっとはありましたけど、それはなく、終始突き放した気分で観てしまいました。現時点で思うのは、過去の遺物を復元したと言うことくらい?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 私の世代はいわゆるガンダム世代と言われることがある。

 狭義には、小学校、中学校の時にガンダムブームにぶつかってしまい、そのままアニメファンになってしまった人間の事だが、一過性のブームが去っても、結構な数のファンは残っていた。かくいう私も確実にその中に入っているわけだが(むしろ私の場合『ガンダム』よりは『うる星やつら』の方により影響を受けているが)、原体験にガンダムを持っていると、今でも身構えてしまう、いわばトラウマ的作品というのが存在する。

 『機動戦士ガンダム』の正式な続編にして、いわゆる“ガンダム・サーガ”を開始することになった本作がそれ。

 『ガンダム』のヒット以来、土曜日の夕方はサンライズアニメの時間になってしまったわけだが、流石にブームも去ってしまうと、視聴率もどんどん落ち込んでいく。そのテコ入れのため、続編が作られることになった。

 しかし、本作の放映時はファンからも極めて不評。何せ小説家でもある富野監督自身、自らの小説でアムロを殺してしまっていたし、本人もかなりやる気が失せていたのじゃないかと思われる。実際、この作品を機にアニメから離れていった人も多い。

 特にTV版および映画版『ガンダム』の最後でニュータイプの希望を持たせる形で終わらせていたのにもかかわらず、本作ではニュータイプはほとんど殺し合いの兵器と化しており、次々に重要人物が死んでいく。ラストも救いがない。と、どう考えても当時受け入れられるような内容ではなかった。

 ところが本作は、一方で大きな功績をももたらすことになった。主人公を変え、ガンダムと名の付く機体を主人公が使っていれば、それはガンダムの歴史を形作ることとなり、やがてそれは“ガンダム・サーガ”と呼ばれるようになっていった。更に年代が進み、様々な形のアニメが作られるようになっていき、受け手側も色々な意味で耐性が出来ていった。

 それで、当時「単に暗いだけ」と呼ばれた本作も、再評価を受けることになり、やがてそれを受けた形でスポンサーもその気を起こしたらしく、ついに映画化となった(何でも富野監督はやりたい作品があって、それを作るための条件として本作の映画化となったとか聞いたけど)。

 それで本作はかなりの新作カットを入れた上での公開となったが…

 はっきり言って、これは「一見様お断り」の看板を出しておくべき作品だったんじゃ無かろうか?TV版を忠実に映画化しているため、そうでなくてもかなり複雑な話が、更に説明不足で展開している。これはある程度ガンダムの歴史やTV版を知ってないと、話が飛びすぎて何だか訳分からない(と思う)ぞ。

 新作カットの大部分はモビルスーツ戦になるが、そこで評価できるのは、動きの自由度。当時はあそこまで動かすことが出来なかったし、ロボットにあんな軟体動物みたいな動きをさせるのは、当時では考えも付かなかっただろう。ハード面ソフト面両面も歴史が下った進歩のお陰とも言える。

 しかし、それ以外何か売りがあったか?と尋ねられると…

 TV版のダイジェストで、ファーストガンダムの登場人物が多数出てきたと言う以外は、これと言って売りと呼べるものがない。

 昔の思いが蘇るか?とか言う期待もちょっとはあったけど、それもなし。終始突き放した気分で観続けてしまった。ただ、ほとんど全ての登場人物およびモビルスーツの名前が瞬時に頭に浮かんだ事くらいで、20年経っても記憶ってのは凄いなあ。と思ったことくらいか?

 全3部作で作られるはずだが、2作目は果たして観るかどうか、現在の所、かなり微妙だ。

(評価:★3)

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