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[コメント] シラノ・ド・ベルジュラック(1950/米)

「男は強くなくては」に対し、「優しくなくては」と続けられる。それが彼の生き方だったから。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 実在の人物シラノ=ド=ベルジュラックの半生を描いたロスタンの戯曲の映画化作品。

 悲恋というのはまさにこのような事。どれ程全ての能力に長けていても、ままならないのが恋の道。シラノはその体現者だった。“普通”になりたくない男の理想であり、同時に“普通“を夢見る男にとっては最も歯がゆい生き方だ。多分男なら誰しも、彼へのあこがれを持ち、同時にこんな風にはなりたいと思わない気持ちを併せ持つのだろう。

 そんな彼を、ファーラーは巧く演じていた。観てるといたたまれなくなる、それでも観ずにはいられない複雑な演技は見事だった。

 後にこの作品はスティーヴ=マーティン主演による『愛しのロクサーヌ』で現代風にリメイクされているけど、やっぱり主題がストレートなこっちの方が完成度は高い(時間の問題もあるか)。

 楽しいと同時に寂しくなる作品だ。

(評価:★4)

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