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[コメント] 優駿 ORACION(1988/日)

馬は人間の夢を乗せて走る。金という名の夢を。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 宮本輝の同名小説の映画化作品。作者は自他共に認める競馬好きで、趣味が高じて色々調べているうちに小説にしてしまったという、一種の趣味的作品とも言えるのだが、流石に原作の方はかなりしっかりしていて、単なる情だけでなく、業界の裏側のドロドロした部分、伝統という名で縛られている不条理な手続きのことや、結局金が最も重要という、その辺まで書かれている。

 それと、丁度80年代の後半は競馬ブーム。まさしくバブル期に合わせ、競馬はオシャレなレジャーへと変貌していった。それに目を付けないフジテレビではなかったと言うわけだ。だから公開時それなりに期待度は高かった。

 …ただ、結果として出来たのは、流石にフジテレビ後援だけのことはある。まさしくバブリーな物語。願いが込められた馬は綺麗なだけで自意識のカケラもなく、人間の都合に振り回されるだけの存在で、バブルの煽りを食って人間味を失ったオトナの小汚い夢を、あたかも幻想的なファンタジーのように描いてくれた。馬を扱っているにもかかわらず、生きものを扱っているという臭いが全くしない。脚を怪我してる馬に向かって、全部人間の都合なのに「オラシオンも走りたがってる」なんて、恐ろしいセリフをばしばし吐いてるし…だったら本音だけ言えよ。「私の夢を叶えさせて」って。

 輪をかけて人間ドラマがあまりにもステロタイプで、一体何をしたかったのかが全然分からないと言うおまけ付き。特に仲代達矢の扱いは酷く、汚いオトナは全部一人にかぶせられてしまい、後の人間は全員ドリーマーで、ファンタジーの世界にどっぷり足を踏み込んで、最初から最後まで夢を観続けて終わっていた。

 なんぼなんでももうちょっと作りようがあっただろ?本気で腹立ってくるぞ。

 思ったほどに酷くないキャラ陣営だけど、斉藤由貴はなんでいきなりこんな素人じみた演技になってたんだろう?それなりにキャリアもあったはずなんだけど。

(評価:★2)

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