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[コメント] 事件(1978/日)

日本にこれだけ高水準でまとめられた法廷劇があったことに驚かされた。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ハリウッド映画では重要なジャンルの一つとして裁判ものがある。その中には数々の傑作と言われるものがあるが、それは裁判王国と言われるアメリカならではのものだと思っていた…本作を観るまでは。

 何だこれ。日本でこんな高水準にまとまった作品があったのか?相当な驚きで観られた。

 ハリウッドの裁判もののジャンルに則って、裁判の様子が二転三転していくのだが、それは単に事件の真相であるに限らない。登場キャラの心理をえぐり出して、日本的な人情話への切り換えも巧みであり、心理状況までもが前提から覆される。どんでん返しの面白さの快感もしっかり与えてくれる。

 それに丹波哲郎、佐分利信、芦田伸介という、声にも脂の乗った男優達が織りなす丁々発止のやりとり、そこに割ってはいる大竹しのぶの甲高いヒステリックな声。まあとにかくキャラの円熟度が高くて楽しい。

 ここではあくまでただ存在してるだけって感じの永島敏行も、逆にその硬さが他のキャラを際だたせる結果となっているのも面白い。逆に「これ演技じゃないの?」と思わせてくれるので、それが良い効果を与えている。

(評価:★4)

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