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[コメント] ダーティハリー5(1988/米)

そうそうたるキャスティング。それを活かせないのが本作の最大の問題点。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 監督としてのイーストウッドが、思い深いブルースを題材にした『バード』(1988)。これはしみじみとした良作ではあったが、観客には受けず、興業は大失敗に終わってしまう。それで本作はその赤字を補填するためイーストウッドが受けた作品と言われている。

 主演のイーストウッドの思いはともかくとして、コンスタントなヒットが望める作品としてすっかり定着した『ダーティハリー』(1971)シリーズ。シリーズが進むに従い、時代の流れの影響を受けて徐々に派手になっているが、そのエスカレートぶりはそこそこ抑えられ、手堅く作られている部分は好感を持てる。又、サイコな犯人も第1作目を彷彿とさせるものがあって味わい深い。

 だが、本作の評価はそこまで。1作目の影響下にあることを隠しもせず、チャレンジ精神もない作品では、プログラムピクチャー以上の評価を与えることは難しい。

 イーストウッドとしても、本作を受けるには忸怩たる思いがあったんじゃないだろうか。自分が丹精込めて作り上げた監督作が受け入れられず、単純なヒーロー作品の方が受けてしまうわけだから。

 改めて考えてみると、イーストウッド作品はちょっと時代の先を行きすぎていたのかもしれない。監督作が受け入れ始めたのは90年代になって。ちょっとだけ監督としては早かったのかも。でも、そんな挫折がイーストウッドを名監督にしたのだと考えるならば、本作にも又違った味わいを感じることは出来る。

(評価:★2)

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