[コメント] 飢餓海峡(1965/日)
海だけが、全てを知っている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
誰が殺したのか、放火したのか、イタコの口から語られる死者の話は本当なのか、 それは誰にもわからない。
過去の女からの感謝の言葉も、現在そこにある船の灰も、 犯罪者から語られる真実も、 周りを囲む状況の変化と貧困は、人がソレを信じる事を拒否させる。
確かに彼の言う真実は本当に真実だったのかも知れない。 彼はとても良い人で地元の人に善行を施し、妻を幸せにして、 人々の信頼を得て、 貧困から脱出する為に、食う為に、遮二無二働いて生きてきたのかも知れない。
少なくとも海峡を越える時以外は。
それは今は昔、嵐の中で決別したはずの海峡を結ぶ海だけが知っている。
そして今は静かな顔をした海だけが彼を許している。 もう饒舌に真実について語らなくていいのだと、 背負ったしまった大きな重荷をもう下ろしても良いのだと。
それは、とても哀しくも優しい終末。
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