「ＧＯＮＺＯ」には『銀色の髪のアギト』で裏切られているので、どんなモンなんだろうと、ちょっと警戒しながら鑑賞。「原作の映画化」としてではなく「一本の映画」として見たので、それなりに楽しめた。きっと原作読んだ人にとっては歯がゆい部分があったに違いない。

ある程度の長さがある小説を１００分ほどに要約しなければいけないわけで、きっと取捨選択があったと思われる。おそらくキ・キーマとミーナが加わってからの３人の冒険旅行は、ダイジェストになってしまったが、そこにも面白い冒険があったんだろう。また彼らの生い立ちや「人となり」について、もっと掘り下げてもらいたかった。キ・キーマみたいなヤツ、『ＳＷ／エピソード１』に出てなかったっけ？

主人公ワタル。それなりに魅力的であった。もっと最初は「ヘタレ」でも良かったと思うんだけど、結構八面六臂の活躍。「見習い」じゃなかったの？あんた。注文をつけるなら、もう少し心揺り動かされて欲しかった。あまりにも「スキ」が無いんだもの。あとは、「宝玉」が柄に収まるところを、しっかり描写して欲しかった。「緑」と「青」はいつ手に入れた？（教会の洞窟の魔物と、水上都市の白髪の責任者みたいな男を倒したとき？気がついたら３個揃ってるんだもん。

そこで疑問。これはＲＰＧだよね？思いっきり。とすると、ミツルの宝玉も「同じイベント」で手に入れたの？。彼は幽霊ビルの屋上で、すでに宝玉？を一つ持ってたよね。とすると、いったんＲＰＧの中に入ってから、一時退出して、コンティニューして再度入ったのかな？。そにへんは原作読まないと判らないのかな?

声を務める俳優陣たちは良かったと思います。ウエンツも予想以上（ミツルというキャラクターはイマイチかもしれないが）。でもキャストの順番は、どう考えても松たか子の次なのに、なぜ２番手は大泉なの？で、キャラの造形を「俳優」の顔に似せて書く必要は全くなし。常盤、伊東、インパルス、北陽、柴田などは激似。松、大泉、田中も面影あり？（ちなみに北村・小野・斎藤の「湾岸署トリオ」はどこにいたっけ？

ファンタジックな冒険世界と対照的に、現実世界の「離婚」「浮気」「無理心中」のドロドロはとても少年向けじゃなく、「宮部みゆき」の世界なんだろうな。ワタルの父が激白するところは、その世界と現実社会のギャップを感じてよかったと思う。

あえてジブリの『ゲド戦記』にぶつけてきた覚悟は評価したい。どっちが楽しいかは後日のお楽しみ。