それだけムーア演じるテレサの「思惑」には鬼気迫るものがあった。娘を捨てたイザベルにマウントが取りたいのかな？みたいな風にも見えたもん。｢女社長｣としての顔がドライで、効率の悪いものは切り捨てて、敏腕を通り越して傲慢にも見えた。責め立てられた秘書がかわいそうに感じたもん。その一方で｢母として、妻として｣の顔は、愛を感じられました。そこに時折見せる｢苦悩｣が印象的。それが映画の肝になる。

「そういうタイプの映画」というのもいくつかあったと思うが、この映画は「後味」はあまり湿っぽくならないように締めくくられている。あとはクラダップ演じる夫の描き方が、あくまでも「いい父親、いい夫」に収めているのは、好感。「へんな波風立てる映画」も多いから。

ちょっとインドの描写が途中から減ったのは残念なのと、少年ジョーイがなぜイザベルにとって特別なのかをもう少し詳しく欲しかったですね。