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[コメント] 13歳の夏に僕は生まれた(2005/伊=仏=英)

13歳の男の子の胸に突然今まで考えたこともない移民者の民族的問題。1週間の人間の生き死にの地獄をまさに自分が経験したことからもたらした課題であった。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画の鋭いところは政治で解決の出来ない部分をどこまでヒューマニズムで追求できるか、である。命の恩人なのに、難民者というだけで、強制送還される仲間たち。

まず、生きて飢えをしのぐためには盗みでも何でもしなくてはその日を生きていけないのだ、という当たり前のことを訴求しているが、それは一般市民からすると犯罪であり、払拭すべき人たちなのである。

ブルジョア(或いは一般市民)の視点からは、やはりはっきりとした断線があるのだ。

ラストのいたいけな二人の気持ちと裏腹に生活が完全に分離してしまっているのを思い知らされる観客はこの映画のテーマに踏み入れることは困難だろう。それはあまりに悲しいが、現在世界中で起こっていることである政情に他ならないのだ。

現代的なテーマだが、しかし、少しブルジョア的な視点が入っているので、少々気になる感覚もある。前作「輝ける青春」でもそれが見られたが、ジョルダーナの映画の基本は安定的な立地にまず自分が立脚し、そこから望遠鏡で四方世界のさまざまなことを眺めている、そんな気がする。

(評価:★3)

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