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[コメント] モリエール、恋こそ喜劇(2007/仏)

劇作家、とはいえ俳優との掛け持ち演出者兼経営者。モリエールと言えば世界的な喜劇作家だが、僕が日常よく行っている小劇場のようなものを小屋感覚でやってたんだなあ、とこの映画から分かる。
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本当は悲劇なるものをやってみたい、そんな悲愴的な決意は持っている。しかし、スポンサー、観客の要望等がそれを阻止する。相変わらず爆笑喜劇を求めている人たち。そのズレに悩んでいるモリエール。分かるなあ。でも、劇団員も食べさせないといけないし、と彼の喜劇彷徨は続いていく。

フランスは恋の国である。この映画を見ていると、貴族が貧して、富裕商人との結婚を望んでいたり、そんな当時の世相も明確に描かれる。そして結婚しているとはいえ、アヴァンチュールを楽しむフランス人。そんな粋な生活が美しい映像、音楽と共に描写される。

恐らくこの生活感覚は現代にも通じているのではないか、そんな感じがする秀逸な映像だ。この映画のあちこちに実はモリエールの作品群が散りばめられているらしいが、不勉強の僕にはそういうことは分からない。

その面白さが日本では味わうことが難しいかもしれないが、西洋では恐らく下地が十分だから、国民的人気者モリエールの若かりし時の放浪記として絶大なる評価を受けたのではないか、と推測できる出来栄えだ。

ロマン・デュリスは結構な難役をうまくこなしている。うまくなりましたね。こんな艶笑劇もさらりと演技できるようになったのだ。感心。ファブリス・ルキーニの成金商人ぶりも見事。実力派の俳優なんでしょうな。久々のリュディヴィーヌ・サニエは以前の溌剌とした小悪魔風が何と普通の美女に変貌していた。ファンとしては少々物足りない。

と、どこからでも見ることのできる実力映画だと思います。

(評価:★4)

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