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[コメント] ツナグ(2012/日)

結構興味のあるテーマで恐らく「泣かせ」が入るんだろうと期待して見てました。でも、話は独創的で予想以上に面白かったけれど、意外と涙が出てきませんでした、ね。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ツナグをつなぐ3話のエピソードも交錯してなかなかよろしい。俳優陣もみんな手抜きなくしっかり演技していてかなりよろしい。映像もきれい。でも感動には至らない。何故だろうか、、。

ハートフルファンタジーだから、嘘っぽいなんてダサイことを僕は言わない。こういう作品は自分の気持ちをこのファンタジーに思い切り同化させることに意味があるのだ。だから自分の気持ちに問題があり、なのかもしれない。

最初の話。ガンを母親に告知しなかった息子が母親に本当にそれでよかったのかどうか悩む。でもそんなこと本当に悩む必要があるのかどうか、僕も悩む。ここでちょっと感動するにあたり肩透かしを食らう。

ミステリーじみてちょっと面白いのが2番目の挿話。親友同士なのだが、欲望の前にふたりの関係はぎくしゃくする。そして殺意にまでそれは発展する。親友は真実を知り得ていたのかどうか。

殺意まで感じた時点で実際は親友でも何でもなく、ただのライバル同志。殺人者と被害者の関係に変わっただけのふたりなのだが、殺人者は一体全体何を知りたかったのか。自分が殺人者だということを他の誰かに知られてはいなかったろうか、というヒチコック張りの恐怖からだったのだろうか。

ということで第2話は完全ミステリーでした。(実際リンゴをむく被害者の様子は手にもつ果物ナイフだけで十分ホラーしてました。)感動度はゼロです。

そして真打ちは7年も音沙汰がない女性を待つ青年のラブロマンス。これは泣けるだろう。そう思う。

男性は生きてくれていたらそれだけでいいという。実際愛する人を想う気持ちはそんなものだろう。僕にもそれぐらい分かる。

でも、ポップコーンの紙袋を大事にしまっていたけなげな女性への愛慕にも気持ちが同化しない。(何故なのか、それは音楽なのか、演出なのかちょっと分からない)ましてや両親へ託された品物を持ってはるか女性の家にまで訪ねると言うのに涙一つ出て来ない僕。この段階では少々醒め切っているのか。

最後にツナグを承継する松坂桃李の葛藤のエピソード。両親の死の秘密は途中で恐らく誰にもわかるだろうが、でもそうだったらそんな危ない鏡を家族のだれにも言わないで所有していることの怖さは並大抵ではあるまい。いわば死と隣り合わせで鏡を所有しなければならないわけで、この鏡のことを家族には話しておかないといつ誰が両親と同じ運命をたどるかもしれないのである。

この不思議がこの映画を 感動からさらに遠ざける。

でも、この映画を見て分かったことは死者は現生の僕らの日常を見る機会がないということなんだ。ツナグで邂逅するまで死者の世界にとどまっており、現世を知らない。ある意味安心もしました。と、作品とは全然関係ないことまで浮かんできて映画館を後にしたのでした。

(評価:★3)

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