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[コメント] いとしきエブリデイ(2012/英)

ドキュメンタリータッチというよりまさに劇映画でありながら、ドキュメンタリーのいわゆる人生の切り取りに成功した作品である。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







5年の歳月をかけて作られた映画であるという。その間に4人の子供たちはどんどん成長する。本当の兄弟だから当然顔もよく似ている。しかしそれぞれ子供でも人生の荒波を多かれ少なかれ受けている。表情にそれが出ている。とても面白い。

父親と母親はしかし5年の歳月ぐらいでは風貌はあまり変わらない。その分セリフも少ないが内面的演技が必要とされる。

男は何をしたのか知らないが刑に服している。(映画では敢えて罪名を説明しない。説明しないことで夫婦の愛が浮き彫りにされる仕組みになっている) 女は4人の子供を育てながらそれでも半々の人数の子供を連れて頻繁に刑務所に面会に行く。

映画はその繰り返しである。僕らは彼らの日常を歳月という形でじっくり見ることになる。

女もさみしい。過酷な日常から逃れたくもなる。ふとしたことからある男を代理夫にして家に招く。

夫が出所する。子供たちも喜ぶ。女も喜ぶ。女は明け方、夫に男がいたことを告げる。こういうのは最初に言った方が勝ちなんだね。男は動揺するが女への愛は変わらなかった、、。

何か昔見たアニエス・ヴァルダの「幸福」を思い出す。子供がいて優しい夫もいて幸せの絶頂だった妻はピクニックに行ったとき夫から浮気を告白される。愛の確認のセックスまでした後なのに、その後池のほとりで水死した妻が発見される。

この映画では夫はもとに立ち直る。そして家族との平凡な生活が待っている。

シンプルな話なんだよね。作られた話とも思えないほどシンプルだ。だからこそ強い映画となっている。5年の撮影期間を費やしたという決して実験映画ではない。人生のありのままの姿がそこにある。これぞ秀作。

(評価:★5)

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