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[コメント] 裁かれるは善人のみ(2014/露)

この暗くどんよりしたロシアの自然と一体化したかのような現実感。荒涼たる写真群は人間の生きることの苦悩を写し出す。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







人は土地でさえ、家族でさえ権力の思いのままに奪われ、もはや神の不在を問うことさえ愚直に思えるほどだ。このペシミズムは現代のロシアを提起しているのか、それとも人類の普遍的な営みの危機を訴えているのか。

2時間強、観客はこの苦痛に耐えている。その時間は映画の登場人物と共有する。けれど、映画館を出るとそこには秋の明るい日差しが見える。このギャップは何だろうかと訝う。

あいかわらずのズビャギンツェフの、出し惜しみに近い説明不足は、苛々感を超えて壮大な世界のペシミズムに辿り着く。彼の個性なんだろうが、どこか明るさが見える視点がないのだろうか、、。後味もよくないネ。

けれど、この徹底したペシミズムからはこのような映画芸術が誕生する。好きではないが、秀作であることも事実。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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