コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ウォーク・ザ・ライン 君につづく道(2005/米)

遠回りのロマンティシズム。マンゴールドの悪いクセが美点に変わる瞬間。黒尽くめのメシア。悪いヤツが善人に見える瞬間。
Lostie

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







クライマックス。大観衆の前で公開プロポーズ。ここで地味に有り得ないことが起こっている。ほぼ完全に、ジョニー(ホアキン・フェニックス)とジェーン(リース・ウィザースプーン)の二人しか画面に映さないのである。つまり普通ならば、突然の事態に盛り上がったり困惑したりする観客のショットを挿入して当然の場面なのだが、そういうことを一切しない(かろうじてバンド・メンバーのショットがいくつか挿入されたぐらい)。これは本当に地味に有り得ない。

マンゴールドの悪いクセのひとつに、カメラが役者の顔面に寄り過ぎるという点があるのだが、これもそれが炸裂した結果だと思う。だが、それが逆に良かった。充分に「遠回り」した二人。他の人間に構っているヒマはもう無いのだから。急いで二人、一緒にならなければ。

刑務所慰問ライヴで、「黒ずくめで逮捕され♪」と歌ってくれとリクエストした男の嬉しそうな表情が忘れられない。まるで、救世主の降臨に恍惚の表情を浮かべているように見えた。

相変わらずウィザースプーンのアゴが鋭利で見慣れるまで時間がかかったが、良い映画だ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)アブサン

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。