「日本」の描写は外国人監督の作品とは思えない程のレベルにまできているが、日本酒か焼酎のCMみたいに見えてしまうシーンも少なくなかった。日本に家を買ったり、ナカヤマ（Ｍｉｓｏｎｏ）をアシスタントとして雇ったりと、金にモノ言わせた感のある大団円も悪くはないが、生温い。

ダニエル（ベネット・ギロリー）との初対面シーンで「リトル・イングリッシュね〜♪」とデリカシー無く言い放つナカヤマには「うわあ・・・」と思ったが、それはつまり戦争や差別などといったことに（良くも悪くも）理解も興味も無い若い世代をＭｉｓｏｎｏが好演していたということだろう。ただ、ラストの歌はちょっと軽い。

ナカソネを演じた役者は、たった1秒ののぞきシーンで不気味な爪痕を残していった。

あと登場人物の名前だが、クンジ・イノウエとかサイタ・ナカヤマとか、日本人からすると正直ちょっと違和感のある名前だ（実際にそういう名前の人もいるのだろうが、オレの知り合いにはクンジもサイタもいない）。日本側のスタッフは「ケンジとかサエコとかにしておいた方が自然ですよ」とか、ちゃんとアドバイスしたのだろうか。何か特別なこだわりがあったのかもしれないけど。