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[コメント] ジェロニモ(1993/米)

敵と味方を分かつ境界線の曖昧さ。9.11以前の映画にしてはなかなかのバランス感覚で、90年代という中途半端な時代に健闘したと言える。ただ、これは良くも悪くも「西部劇」からは遠い。普遍性や中立性を重視するあまり、ちょっとマジメになり過ぎた感はある。
Lostie

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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この映画で最も「西部劇」的だったのは、シーバー(ロバート・デュヴァル)であり、またその死ということになるだろう。若い連中がカッコつけて片手で拳銃を扱っているのに対し、老兵は両手でしっかりと狙いを定めて撃つ。このへんが経験の差である。だが、そんなことは実は大した問題ではなく、死なない時は死なないし、死ぬ時はあっけなく死ぬ。結局は「運」なのか・・・、という無情を感じさせる。はっきりと撃たれたことが分かるカットは無く、銃撃戦が終わり気がついたら腹から血が出ているというのはリアリティのある描写で、大仰ではない最期のセリフ回しを含めて好感を持った。

あと、中盤のナンタンルパン(ジーン・ハックマン)とジェロニモ(ウェス・ストゥーディ)の和平交渉のシーンの撮影が良い。両陣営の実質的なトップ同士の会見にも関わらず、カメラは寄ること無く一定の遠さから静かに第三者的視座をキープしている。これが今のトニー・スコットあたりなら被写体に寄り倒して、カメラを揺らし倒して、カットを割り倒して、エフェクトをかけ倒すだろう。考えるだけでも恐ろしい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] けにろん[*]

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