コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ステップフォード・ワイフ(1975/米)

この恐怖はしばらくの間トラウマになりそうだ…。予備知識ゼロで鑑賞すると、その狂気の沙汰にいたたまれない気持ちになる。70年代フェミニズムを極限の状態で描き、更にはあのオチ。キャサリン・ロスの目…ああ思い出すだけで怖い…!
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







こんな傑作がこれまでビデオ版でさえリリースされていなかったなんて信じられん。当初はブライアン・デ・パルマが監督を務めるという話もあったようだが、結局はイギリス人監督のブライアン・フォーブスで落ち着いたという作品。アメリカの象徴を描くのに英国紳士が監督を務めて何が悪い?…と、フォーブス自身は思っていたようで(笑)。またヒロインも有名どころではダイアン・キートンなど複数の女優にオファーをしていたが、最終的にはキャサリン・ロスで決定。キートンは関係者からGOサインが出なかったとか。それほど少々取っ付きにくい、ある意味では文化的な作品なのかもしれない。

何が怖いって、あのラストの狂気の他ならない…。もちろん二コール・キッドマンのリメイク作品の存在は知っていたが、まさかこんなアリエネ〜お話だったとは。いや確かに、IMDbのジャンルに「SciFi」と記載されていたからおかしいとは思ったんだけども、流石にあのオチは想像できない。

面白いのは(特典映像で知ったことだが)冒頭のマンハッタンでのシーン。車内からエバの子供が父親に「裸の女の人(マネキン)を抱えた人を見た」と言う。すると父親は「だから引っ越すんだよ」とさらりと言うのだ。この時俺は「…?あ、そうか、NYだもんな」と少し引っかかる程度だった。しかしながら、この場面はもう一つの重要な意味が隠されていた。そう、ダブルミーニングな場面なのだ。つまりあのマネキンはロボットの原型!製造過程の一つなのだ!……この話を聞いてゾゾゾォ〜と震え上がってしまったよ(笑)。また、スーパーでの場面ではちょっとした事故なのに救急車(パトカーだったような気がする)がかけ付けキャロルを運んでいく。それも病院とは別の方向へ向かって。まさにこれはロボットの点検のためであり、不具合を生じさせない為の行ったことなのだ。エバの指摘に対して父親が「あ、そういえばそうだな」と不自然に受け答えするが、当然ここで全てを理解しているはずであり、決心が付かない彼の様子が表れている場面でもあるだろう。こういった伏線の描き方が非常に巧妙であり、また丁寧だ。何度も書き直されたという脚本の功績なのかもしれない。

70年代アメリカを見つめるには最適なのかもしれないし、当時よりも現代のほうが、この作品を見つめやすいのかもしれない。フェミニズムと一言でいってもかなり難しいが、女性と男性の微妙な立場、垣根の無い立場の裏側に潜む「皮肉」がこめられていると思う。時代を茶化しているというかね。

純粋にドラマがスリラー/ホラー/SFに豹変するという見事な作品でもあるし、間違いなく傑作ですこれは…。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。