コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] バーバー(2001/米)

この男の疎外感を映し出すグレースケールとスローモーション、そして、ハサミの音。 コーエン・ブラザーズが放ったもう一つのアメリカン・ビューティー。
kazby

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







床屋としては、つまり、エド(ビリー・ボブ・ソーントン)は、雇われていて、経営には参加できなかった。 もちろん転職する自由はあったが、お金がないから、これと思う仕事を始める自由はなかった。 かといってひどく貧しいというわけでもなく、そこそこの家に住んではいたが、家族関係は崩壊していて、連れ合いはその上司と寝ている。 実は、圧倒的多数派と呼ばれるグループに属していながらも、人はこんな風に孤独を増大させていくものなんだと思う。 それは、彼のせいではないんだけど、出口を求める人は、「犯罪」の方へ向かってしまうことも。

死んでも髪の毛は伸びると言われているのに、それを刈って捨ててる、非生産的に思える床屋っていう職業を続けていると、ますます無気力になっていくように思えたから、どうにか逃げ出したかった。 死刑を前にして、エドはそんな風に結論を出したように見えた。 人権をうたう法律も辣腕と賞される弁護士も、弱いものの味方とは言いがたい現実を、今日もかなしい思いで見た。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)埴猪口[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。