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[コメント] 古都(1963/日)

全てを幻に終わらすのではなく、姿形あるものに変えていく作業が繰り返し行われる場所、古都京都。木々から建築物等の形に変えていく作業は、離ればなれになった姉妹をつなぎ止める工程へと展開する。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画鑑賞をしているのか京都観光をしているのか、その境が分からなくなったりしたものの、京都の正体を鑑賞していることに気づく。これは姉妹の出会いを通して、開発が進み昔ながらの建造物が取り壊される京都の町並みの幻のような状態をあぶり出しているように思える。

そして、あぶりだし問題提起をして逃げるのではなく、新しい旦那を迎え入れることよりも、古き、そして長年思い続けてきた妹と姉の想いを重んじなければならないという中村登のポリシーの気配を感じた。また岩下志麻の持つ妖艶な雰囲気が2倍となり、この気配を増幅していたのも確かにあったと思う。

彼女の演技なしに語れない映画だろう。

2003/1/21

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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