大林監督作品は好き（だったん）ですよ。たとえクサかろうがイビツだろうが、「それはそれで味がある（ような気がする）」と温かく受け入れて、あの『漂流教室』だって『水の旅人…』だって、ちゃ〜んと劇場で観た後で、ビデオでも再見したんです（『SADA』は除く）。

　でも、この映画に限っては、どうも居心地が悪い。いつもの大林節を受け入れることにもの凄い抵抗感がある。…どうしてだろう？と思ったときに、真っ先に思い当たったのが浅野温子の存在。どこをどうしたって、この人を大林節の中に織り込むには無理があり過ぎたような気がする。って言うか、浅野温子はきっと「何でこんな演出をするんだろう？あ〜ヤダ、アタシはこの監督とは絶対合わないわぁ…」とか何とか思いながら芝居をしてるんだろうなぁ、というのが透けて見えてしまって、妙にハラハラしてしまうのだ。なんか、みんな仲良しのほのぼの学級に、いきなり都会の転校生が入って来ちゃったみたいな。

　動ける女優（＝富田、浅野）と動けない女優（＝沢口、紺野）の撮り分けは的確だし、役者が真面目に演じれば演じるほどコメディ化してしまうという大林マジックも健在。大仰しい歌謡曲風BGMだって、見事なまでに大林映画。…しかし、限りなく居心地が悪い。いつもだったら「ムズムズする〜！」と身悶えしつつも楽しんで聞けるクサい台詞の応酬も、この映画ではむしろ針のムシロ（←駄洒落）。それはたぶん、浅野温子の所為。ってことにしておきたいの。大林ファンの一人としては。ゴメンね、浅野温子。あと、ついでに宮川一朗太も。