心と裏腹の言動や、体裁を気にして…云々で、大人の愛をテーマとした映画はなかなか難しいと思うんです。が、

○ファニー・アルダン のピンとした背筋、どの表情でもキュッと上がった口角が、凛とした気高さを漂わせ、ブルジョワ婦人を見事に演じてました。夫を少しも疑っていずはつらつと華やかな最初と、夫を疑いだしてからの心ココにあらずの演技。ファニー・アルダン がこんなにも素晴らしい演技をする女優さんとは知りませんでした。

○エマニュエル・ベアールの、完全に役になりきる演技は昔から買っていましたが、今回も私をにんまりとさせてくれました。あのアンニュイナ色香炸裂デス。石田ゆり子にも思う事なんですが、エマニュエル・ベアール の色っぽさは、健康的な”陽” とは逆の ”陰” 的色気で、今回は正にはまり役でした。夜のエマニュエル・ベアール のアンニュイな雰囲気を際立たせる上で、昼に女友達と３人でアイススケートをするシーンがありますが、あのシーンを入れたのは大正解だと思いマス。あのシーンの表情が大好きデス。

○ジェラール・ドパルデュー は、演技が素晴らしいと言うか、黙っていても表情がサマになってる感じなので特に書く事はありませんが、ラスト近く喫茶店と言うか、バーらしきトコロで、ファニー・アルダン と見つめ、「愛しているから」って言う時の表情がとーってもキュートでした。まるで大きなセントバーナードの様でした。

話の筋は途中で読めてしまったものの、鑑賞前に想像していたものとは違い、案外脚本がしっかりしていたのと、音楽がとても好みで良かったので、こんな採点になりましたー。

05.01.09@ﾙ･ｼﾈﾏ