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[コメント] フルタイム・キラー(2001/香港)

ジョニー・トゥ初体験 2004年2月21日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







予告を見た時に、反町とアンディ・ラウの共演、と言うよりも、日本でアイドルとして知名度のある人間と香港のトップスターが競演して、あれだけの銃撃戦をやっている事に少しばかり驚いた。そういう訳で見に行った。

ストーリーの核は「殺し屋同士の戦い」な訳だけど、警察との追いかけっこや、変なサスペンスを組み込んだお陰で二人の掘り下げが甘くなっている。確かに、警察(インターポールだったけど)を絡ませれば、その分アクションシーンが増えるかもしれないが、この作品ではあまりにそれと、トク(アンディ・ラウ)の過去などを掘り下げる余りに、劇中、反町が言っていた「男同士」が全く感じられず、そういう意味でクライマックスの倉庫での戦いには興奮できず。

アクションシーンは確かに素晴らしい。特にあのマンションでのOと警察との戦いのシーンはかなりのモノで、反町、頑張ってるなぁ、と言う印象。そりゃ演技面では日本語しか話さない(話せない)、上に演技自体大した事が無いのでアンディ・ラウの切れっぷりに圧倒されて少々影が薄くも思える。

けど、演技がどうのこうの言っても、それなりにがんばっている点は誉めたいし、そんな彼らをカッコよく撮ったジョニー・トゥの「銃撃戦を魅せる」技術はとんでもないモノだと確信。ただ、その分、脚本が甘いのか、監督がストーリーを描くのがあまり上手くないのか知らないが、心理描写やらイマイチで、緊迫感も無いし、変に入り組んだ展開をしている上に、それが上手くメインプロットに絡んでいないのでだれてくる。結果、銃撃戦がいくらカッコよくても薄っぺらくて、ただカッコイイだけ、といった印象しか残らない。

例えば、花火が上がっているのとクラシックをバックに銃撃戦、と言うカットは確かにそれなりにカッコよさがあっても、そこに至るまでに観客に感情移入なりなんなりさせておかないと、映像の一人歩き。

それに、プロの殺し屋殺し屋、とか言いながら、いくら注目されたいからと言っても街中で顔をさらして殺しまくる、なんておかしい。撮り方が上手くても、どうも「えぇっ!?」と思ってしまい、興醒め。なんかほのぼのと銃を乱射しまくる姿を見ていたらリアリズムのカケラも無く、どこか別の世界にいる気分になる。これまた興醒め。

この作品では「プロの殺し屋」と言うのを強調している割に、派手な銃撃が多すぎて、ちょっとどうかと思うよ、ホント。

一応、この映画は三角関係っぽい感じにもなっているので、警察との追いかけっこの部分を殆ど削って、二人の因縁に焦点を絞ってしまえばよかったのに。変に映像に拘る余りに心理描写をおろそかにしてしまっては、それこそもったいないのでは?もっと言えば、過去の因縁なども全て取っ払って、一時間ちょっと程度の時間で、殺し屋同士の対決、って所だけ焦点を当てて銃撃戦と男の意地とプライドをかけた、「プロ同士の戦い」のみを徹底的に描いてしまえば傑作になれたんじゃないのかな?あれだけの銃撃戦を取れる監督なんだから。

所で、ラストはトクがOに殺された、って事ですよね?Oはあの世界から足を洗いたかったから、「殺された」と言う事にして語っておけば良い、と思い、あのような結末を話させた、って事やろ?まぁやってる事わかるんだけど、何度も言うけど、ここに至るまでに感情移入もさせられていないので、「ふーん、だから」といった印象しか残らないまま、映画は終わる。

見終わって残ったのは、ベタなクラシックの連発のクライマックスの盛り上がりの無さと、他のシーンの銃撃シーンのカッコ良さと、反町がそれなりに頑張っている姿。そしてアンディ・ラウが『デスペラード』を誉めていた事。

★2.5

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)たろ[*] けにろん[*]

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