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[コメント] 壬生義士伝(2002/日)

まさに人生は『マグノリア』。そんな映画 2003年1月15日試写会鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







誰かの誰かが、誰かの誰かとどこかで出会っている。

親父の親友(親友の親父)が、目の前のおっさんと動乱の幕末を共に闘い、そして生きて来たお方。

うーんかっこええ。

「新撰組」って名前だけで感動が生まれてくる。幕末という動乱の時代に尊皇攘夷に身を捧げて、散っていった夢と言う名の武士達。武士の命の大刀一本で鉄砲に、突っ込んでいく「獅子」「壬生狼」「修羅」。なんとでも言い方があるが、戦う男の背中というものは、文句なしにかっこいい。

この映画のチラシと予告。そんなツボを刺激しまくり、俺の血の温度は上昇し、予告を観ながら叫びだしそうなほど興奮していた。

時代が変化するには血が必要。そんな時代だからこその「ドラマ」である。

が、しかし・・・・長い・・・・

後半(ラスト40分くらい)は、ちまちまとやってくれますねぇ・・・こっちゃちゃんとした劇場での公開じゃないから、足が痛い(椅子も悪いし)ってのに、ちまちまとやりやがる。「お涙頂戴」的演出が延々と続く。

それまで、ちょっと分かり難い回想劇(二人の人の回想を同時にやるって手法は別に嫌いじゃないが、劇場を出るとき「わからなかったけど、段々わかってきて・・・」みたいな声がちらほら)で、主人公が新撰組に入る経緯、脱藩の過去。故郷(国)に残した家族との別れ。

オールド・ルーキー』の親父も「夢を追う前に、男としての義務(=家族を養う)をはたすべき」と言っていた。

形は違えど似たようなもの。この男は、男としての義務を果たすため、家族への愛情ゆえに、不名誉なる脱藩をし、新撰組に入る。

そして、彼の「守銭奴」の姿を描き出す。家族の為に、仲間の為に我が身の空腹をも満たそうとせず、「死にたくないから戦う」と叫び、「議」に身を捧げる。

「お前は死んではならん!お前のような人間は死んではならん!」

そんな叫びにぐっときて、煙の中に走り行く男の背中に心を揺さぶられた。

彼は謙虚で図々しく、弱々しく力強く生きた・・・

と、なったところで上映時間2時間20分のうちの1時間40分くらい。

当然思いますよ、「ん?吉村先生は死んだわけだから、次は新撰組の最期まで描くのか?」とね。

けど、彼は生きていた!

と、続くドラマは、だらだらと切腹前に故郷に残した家族(=カメラ)に呟きつづけ、三宅の下手くそな握り飯が中途半端に潰れ、三宅は人が変わり武士として死に、吉村の息子も「一人で三途の川渡すわけにはいきませぬ」と言い散っていく・・・

長い!確かに重要かもしれないが、これはドラマを「起承転結」に分けて、「結」の部分だ。「結」の部分というのは、クライマックス後の余韻や主人公のその後を描く部分。

つまり、長すぎず短すぎずの場面のはず。それが30分以上続く!?これはクライマックス?

うーん・・・最期の30分ぐらいもう少し刈り込めたんじゃないかな・・・。別にわざわざ切腹前にあんなに語らなくても、十分彼の生き様は観客に「感動」として伝わっていたわけだし。そんなにダラダラやる必要性を感じない。

どうして最近の映画ってこう長いのかなぁ。2時間越え映画がしょっちゅうでてくる。別に長くしなくても、ラスト30分殺ぎ落としても充分面白いんだから、刈り込めばいいのに・・・

まじで、ラストのあざとさには減滅。呆れました。

★3.5だけど、おまけの★4

ところでラストで病院の下から手紙か何かを入れていた老人は誰でしょうか?吉村貫一郎は切腹したんだろ?ってことは、あれは長男?それとも三宅つぁん?

謎・・・

ちなみにこの映画は「我々はこの感動を大声をあげて泣く事でしか表現できない。」「聞け!日本人の慟哭を!」

みたいなことを、キャッチコピーに宣伝している。

が、辞書で調べてみたが・・・

「慟哭=ひどく悲しみ、大声をあげて泣き叫ぶ事」

と、ある・・・

あれ・・・?つまり映画の「慟哭」を見て「慟哭」しろと?

この難解な宣伝方法にこそ、ねこすけは慟哭(?)してしまう今日この頃(意味不明)

だからラスト30分で、延々と「慟哭!」「DOUKOKU!」「どうこく!」と叫びつづけたわけだ・・・?(理解不可能)

あっ、すみません。馬鹿なボケかましちゃって(^^;

(評価:★4)

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