[コメント] 宇宙戦争(2005/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
火星人の三本脚歩行戦車。小学生のとき夢中になって読んだものだ。いやいや、私が読んだのは、H・G・ウェルズの原作ではなく、それをオーソン・ウェルズがラジオドラマにしたらパニックになった、というエピソードを描いた子供向けノンフィクションの方なのだ。その2年後に原作も読んだのだが、最初に見たイラストのほうが頭に残っちゃってるのである。
と、まあこれは個人的な思い出なのだが、私が言いたいのは、今回の映画、もっとドキュメンタリータッチでもよかったのではないか、ということだ。
原作も主人公の一人称で語られている。
映画も終始トム・クルーズの視点で描かれている。
冒頭とラストに、短いナレーションを入れるくらいなら、もっと全編にわたって徹底してもよかったんじゃないだろうか。
侵略者の正体がわからないまま逃げる家族。
「ヨーロッパは無事らしい。」「大阪で2体倒したそうだ。」
どうせなら、どこまでが本当で、どこまでが嘘かわからないという状況を、もっと描いても良かったんじゃないか?
「外国の新兵器だ。」「超古代文明がよみがえったんだ。」
などという噂が出てきそうだ。オーソンウェルズの事件をしっている人間としては、そう思ってしまう。
あらかじめ地中に埋められていたトライポッドが雷雲と共に動き出す……というシーンを見たときには、「なるほど、このトライポッドは遠隔操作か。原作やジョージ・パルの頃と違って、現代の発想だな。」と思ったら、雷と共にエイリアンが乗り込んでいたのだった。あらら。まあ、遠隔操作だったら、ラストも変えないといけないもんな。
エイリアンのデザインは『インデペンデンス・デイ』そっくり。タコ型でよかったんじゃないの?地下室に逃げ込むのも、M・ナイト・シャマランのほうがうまい。
……というふうに、どうも煮え切らなかった部分も多いのだが、見ている間は楽しめました。地中から出てくるトライポッドや、息子と別れた後、炎の中から現れるトライポッドは迫力満点。
脚本で気に入ったのは、拳銃の扱われ方だ。
家を出て逃げる準備をするトム・クルーズは、拳銃を腰にさす。彼のことだから、これで火星人と戦うのかと思ったら、車に群がってきた人々を脅すために使うことになり、最終的には、他人の手に渡って、人を殺すために使われる。
人間もまた危険なり。
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