先日読んだあるインタビューで山下は「感情がうまく出せないから、生き方が不器用になってしまう、泣いたり笑ったりという当たり前のことができなくなった人」への尋常ではない思い入れの強さを語っていたが、大学の卒業制作であり初の劇場公開作である本作で描かれているものが、すでにそうであるところが面白く、また、そういった予備知識を除いても十分素晴らしい作品に成り得ているところに改めて彼の非凡さを感じ取ることができた。

ガス・ヴァン・サントへのオマージュが感じられる空もよい。