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[コメント] 禁じられた遊び(1952/仏)

今更こんなことを言うのも何だが…。
ナム太郎

本編にお金がかかりすぎてサントラにかける経費が不足したことが幸いしてイエベスのあのメロディが生まれた等、逸話にも事欠かない「名作」に今更こんなことを言うのも何だが、戦中戦後のあの混乱期を生きていない私には「そこそこ観られる佳作」以上の何物でもない作品であることを、まずもって申し述べておきたいと思う。

子どもたちの手による(禁じられた)遊びを通じて反戦を描こうとする主旨もわかるし、その方法論に何ら不満を抱くわけでもない。さらにあの冒頭の空襲シーンにこそドキュメンタリー出身のクレマンらしい冴えが見られるのだと言われればハイそうですかと言うしかないし、ましてやこの映画に通底するその時代独特の空気を否定するわけでもなく、この映画があの時代を代表する作品なのだとする向きに反発する思いも毛頭ないのだが、それでもこの映画こそが永遠の、オールタイムな名作ですよなどと言われたら、恐れ多くもその意見にだけは否定的見解を述べざるを得ないというのが正直なところである。

あのメロディ同様に映画史上に燦然と輝く名曲は数多く存在する。例えばあれほど耳にする『ゴッドファーザー』のメロディなどは、あの映像を伴ったときに、その音楽と映像との融合により更に心の奥底に迫る何かを奮いおこしてくれるものだが、この映画からはそんな音楽と映像との融合は感じ取れず、映像とはまた別のところにイエベスのギターの音色を感じ取ってしまう。

いくらよい曲でも、それが映画の中で不自然な趣きを醸し出すなんていう音楽の使い方は、やはり演出の未熟からくるものとしか思えないのだが、これなんかも私独特の感覚なのだろうか。

(評価:★3)

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