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[コメント] 刺青一代(1965/日)

清順の最高傑作は『ツィゴイネルワイゼン』や『殺しの烙印』ではなくこれだと思う。プログラムピクチャーの枠内で作家性が爆発したという点では、加藤泰の『緋牡丹博徒 お竜参上』と肩を並べる至高の映画。
太陽と戦慄

とにかくしっかりと仁侠映画しており、しかし同時にどこまでも清順映画だ。奇をてらった物語ではないからこそ、細部の異様さがギラギラとした輝きを放つ。

クライマックスの殺陣のシーンで、画面が突如真っ暗になる。ここが震えがくるほどかっこいい。床をガラス張りにして真下から撮影したカットももはや伝説だが、それにしてもこの凄まじい照明は何ということだろうか!

映画作家というのは撮りたいものを撮れる自由な環境があれば傑作を作れるというわけでもなく、足枷があったほうがかえっていい仕事をする時もあるのかもしれない。日活時代の清順映画を観るたびそう思えてくるのだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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