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[コメント] ULTRAMAN(2004/日)

出来は酷いんだが、かばってあげたい気持ちもある… いや、ない…
ペンクロフ

シン・エヴァンゲリオン劇場版』を終えた庵野秀明樋口真嗣の『シン・ウルトラマン』が公開延期中の2021年4月にDVDで観た。公開時にちょっと気にはなっていた作品だ。「子供の頃に観たアレを現代の技術でピカピカに甦らせて原点回帰で大衆歓喜」を狙った企画は今作に限らず多くあり、観てないけど今作の翌年には東映も『仮面ライダー THE FIRST』をやってたりする。このテの企画は殆どの場合、惨敗する。それはもう失敗するのが決まりきっているように失敗する。成功したのは平成ガメラぐらいではないだろうか。庵野秀明は『シン・ゴジラ』を作り、『シン・ウルトラマン』企画脚本、『シン・仮面ライダー』脚本監督やるそうだ。あーハイハイ。がんばれよ。

ぼかー基本的にこういう懐メロをシンセサイザーで編曲、みたいな企画は好きじゃありません。ゴジラもウルトラマンもタイガーマスクも、新たに作ってほしくはないです。新作を作ってほしいです。新怪獣を、新ヒーローを、シン・ウルトラマンを作ってほしい。いや最後のはウソです。ややこしい。なにしろわたくしは「昔の名前で出ています」状態を嫌う者です。しかし… しかしなぜなのか、こういう企画って観ちゃうんだよなあ。ズルイよな。企画として卑怯です。とうとうこの『ULTRAMAN』も17年越しに観てしまった。そういえば伊福部昭の楽曲をシンセで作り直した「ゴジラ伝説」とかオレ大好きなんですよね…

このテの企画が成功するには、作り手にバカげた才能があり、斬新なアイデアが山盛りで、抜かりなく高い完成度を作品単体で示さなくてはならない。しかしこの映画は全然そうじゃない。要するに平成ウルトラマン作ってる連中が作ってるんだ。ウルトラシリーズの熱心なファンならどこかに新しさを見出すのかもしれないが、世間は全然驚かない。いつものウルトラに見えてしまう。庵野秀明は映画を作るのがメチャクチャうまいわけではない(と思う)が、このあたりの「世間に届く」案配をよく知ってるよな。それはくる日もくる日も調布の日活撮影所や成城の東宝スタジオの特撮ステージにこもっていては、たぶん会得できないセンスだ。つまりプロデューサー、この場合は円谷プロが無能なのである。

マジメにウルトラ作り続けてきた優秀な、しかし天才ではなくセンス凡庸な愛すべきスタッフたちが頑張って作って、普通に不出来に仕上がった作品だ。こういう作品を凡作と切って捨てるのは簡単かもしれぬが、ちょっとかばいたいような気分もあるんですよね… 凡作30本の上に傑作が1本作られるんであって… とにかくダメなところをあげつらえば夜が明ける作品なんだが、いつまでもがんばっていただきたいと思ってる次第です。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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