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[コメント] ファイティング・ファミリー(2019/米=英)

WWEスーパースター、ペイジの一代記。極めて周到に作られており文句ない。ロック様がいかにハリウッドの優秀な人材たちに囲まれ、ド真ん中で「座長」を張っているかがよくわかる。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ペイジがフロリダのWWEパフォーマンスセンターにやって来ると、3人のディーバ(DIVA。当時はこう言ったのだ)候補が先に入団している。3人が3人揃ってセクシーでパツキンのモデルあがりやチアくずれだ。顔と体がいいから入ってきた、イケ好かねえ女達。プロレス一家育ちのペイジとは水と油だ。ペイジは練習でも3人とぶつかって険悪な仲に。

というフリが最高に効いている。実は彼女ら3人も夢を抱いて努力する女性たちであり、ペイジとの育ちが違いすぎるためにスレ違っていただけだった。そして3人のセクシー路線に勝手に惑わされてパツキンにしたり辞めようとしたりと苦しんでいたペイジが、里帰りでの家族との衝突を経てついにリングの上で自分自身の表現を爆発させるのがレッスルマニア翌日の「RAW」だなんて実話にしては出来すぎだが、彼女自身の問題克服のクライマックスをRAWに設定したのは見事だと思った。3人のセクシー同僚は脚色かもしれないが、ペイジが当初WWEにうまく馴染めず苦しんだのも本当らしい。まあ英国ド田舎の家内制プロレス興行とは何もかも違うよな。結果、変人の巣窟からやってきたゴス丸出しのペイジの活躍はセクシー一辺倒だったWWE内女子プロレスの風景を変え、今ではディーバというカテゴリーもない。女子選手もすべて「スーパースター」に統一された。すべてがペイジひとりの功績ではないが、重要な役割を果たしたスーパースターの1人なのである。

この映画はロック様ことドウェイン・ジョンソンが2012年に放送されたペイジ一家のドキュメンタリー「The Wrestlers: Fighting with My Family」を観て、これは映画になると思って実現させた企画だ。ハリウッド、いや世界のスーパースターになっても古巣を忘れぬロック様にはシビレるが、もう1人この映画の礎を築いた男がいるのだ。WWEパフォーマンスセンターを設立し、数えきれぬほどの次世代スーパースターを育成し、WWE第3のブランドNXTを主宰する男、つまりこの映画で描かれた団体のシステムほぼすべてを作り上げた男こそ「ザ・ゲーム」、トリプルHその人なのだ。この映画は、不世出のスーパースター2人のプロレス愛に包まれている。ゆえに映画の冒頭は、名勝負を連発した「ザ・ロック vs トリプルH」の試合映像から始まるのである。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ロープブレーク[*]

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