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[コメント] 太陽の王子 ホルスの大冒険(1968/日)

わざとやってるとしか思えないカタルシス不足も含めて、高畑勲節が爆発している。アッサリ見せた巨人と氷のマンモスの対決なんか、普通なら凄い見せ場になるのになあ。テーマと関係ない部分には冷たいよなあ。
ペンクロフ

高畑監督の映画はいつも隅々まで監督のコントロールがゆきとどいていて、ゆきとどきすぎていて、なんだか教科書を読んでいるような神妙な気分になる。映画の主張も説教くさい人なんだけど、それ以前の段階で高畑映画は教科書的だ。計算されたベストな構図、必要充分にコントロールされたカメラの動き、アニメーションで生活感のある地味な芝居をしつこく見せようとする強固な意志。

正確に計算されつくした高畑映画には心から感心するんだけど、この人の映画を観てびっくりしたことは一度もない。わざわざアニメーションとして作っている意味がよくわからないのです。どんなムチャでもできるアニメーションという土俵で、一度もムチャしない冷静すぎる映画を作り続けている高畑監督。この人の映画はたとえ新作映画でも、もうすでに古くさい教科書の匂いがする。いや、ハマれば素晴らしいんですよ、テレビのハイジや赤毛のアンのように。そういう意味で『ホルス』は最高に高畑監督らしい映画だ。社会的テーマを謳い、登場人物たちのリアリティに感心し、アニメーション技術も素晴らしく、しかし1秒も興奮しない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)寝耳ミミズ ボイス母[*]

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