戦争では何人もの人間が死ぬ。数え切れないほど死ぬ。 そんな状況下、仰向けで空を仰ぐ一人の男。その下には地雷。

この絶体絶命の事態に国連軍が到着するも救出不能と判るや撤退。 マイクとカメラを手に戦場をうろつくだけのマスコミは当然何の助けにもならず 一通りの撮影を終え同じく撤退。

無常にも彼は独り戦場に置き去りにされてしまう。

そしてこの象徴的なラストシーンはまるでジョークのように軽い音楽に乗せられ、 その後、淡々とエンドロールが流れるのである。

そして軍服の下にストーンズTシャツを着たボスニア兵と神経質なセルビア兵。 彼ら２人のやり取りは微笑ましくも見え、滑稽な様にも見えたが、 最終的に彼らは互いに憎しみ合い殺し合う結果となる。

この映画は「戦争」という極めて重いテーマを取り扱っているにも関わらず、 他の戦争映画には無いユーモアさも持ち合わせている。 だが、同様に「ユーモア」だけでは隠し切れない戦争の「不条理な怖さ」も 其処には存在するのだ。

そんな戦下の「リアル」をこの映画は一味違った切り口で我々に突き付けているようにも思う。