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[コメント] 世界(2004/中国=日=仏)

沈黙するカメラ。無言のもう1カット、もう1分。
HW

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







BGMの積極的な使用に、アニメーションの挿入とこれまでのイメージを崩す、予期せぬ演出に驚かされたが、しかし、違和感はない。むしろカメラワークを含め、一種の洗練とさえ感じられた。

ジャ・ジャンクーほど「視線」という言葉が似合う監督はそういないと思う。鑑賞中、自分が映画を見ているのだぞという事をハッと意識させられる。露骨なほどの長回しは登場しなくなった本作も、しかし、今まで以上にそれがある。もう少し見たいかなと思っていると、躊躇なくバッサリ切られ、そろそろ次かなと思っていると、観客にとっては奇妙な居心地の悪さを感じる無言のもう1カット、もう1分が来たりする。まだ見せる。この1カット、この1分は何故なのか?見過ごす事を許さない緊張感に震えが来た。沈黙を何処か強調する派手やかなダンスシーンも忘れ難い。

映画の終わり、炭鉱の町からやって来た2人は北京で一酸化炭素中毒になる。「新しい始まり」とは一体何なのだろうか?このセリフで締めくくられるラストにもちょっと意外な印象が残る。

(評価:★5)

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