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[コメント] 刑事コロンボ 指輪の爪あと(1972/米)

どうせ年をとるならコロンボみたいなおっさんになりたい。
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一作一作を他の映画と比べて採点するとどうしても厳しめの採点になってしまうが、刑事コロンボシリーズはトータルとして考えると大好きだ。

それはやはりコロンボというキャラクターの魅力に尽きる。のらりくらりとしていて卑屈で、それでいて敏腕というところもかっこいいと思うが、それ以上に滅多に見えない彼の本心というか、彼を衝き動かすものに惹かれる。

客観的に見ると結構入り組んだ構造で生じた今回の殺人について、のらりくらりという印象を保ちながらも確実かつ論理的に真相に近づいていくところには納得させられる。ただそれ以上にコロンボの内面に関する部分が気になった。

犯人である探偵社の社長に高収入を約したヘッドハンティングを持ちかけられると、興味を示す素振りをみせながらもやんわりと断りを入れるコロンボ。目の前の男が犯人であることを嗅ぎつけているからというのもあるのだろうが、高収入には毛頭関心がないように映った。別に反権威志向だからということだけではない。コロンボは収入や地位以外の何かのために職務にあたっていて、それが正義感らしきものからなのかどうかは不明だが、見えざる価値のため、そういうものを煙に巻きながら敏腕ぶりを発揮するコロンボには職業人としてとても魅力を感じる。見ている私のそのときの気分に左右されているのを承知で言うなら、刑事コロンボシリーズは一種の労働賛歌ではないだろうか。(★3.5)

(評価:★3)

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