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[コメント] ファニーゲーム(1997/オーストリア)

仕掛けだらけの悪意(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ソドムの市』などに顕著だが、悪意で押しきるタイプの作品は、その残虐性や暴力性の表出にいつしか慣れてしまう。その慣れが生じた頃に、さらに同じ展開が繰り返されると作品の緊張感が失われ、弛緩しきってしまう。

それに引き換え本作は、息子が殺された後の固定画面に顕著だが、それまでのリズムとはまったく別の展開を不意に差し入れてくる。極めつけはあの確信犯的大反則のリモコンを持ち出して、最後まで一定の緊張感を保ちながら悪意を映し出し続ける。

結局のところ、あの犯人たちは何の背景ももたない「悪意」そのものなのだろう(『時計じかけのオレンジ』のような特徴的な服装ではなく、嫌っているはずの中流層が身に着けるテニスウェアを着た二人組)。最後のいたぶり方など、とても好きにはなれない作品だが、やっていることは首尾一貫していたと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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