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[コメント] 片目のジャック(1961/米)

 どこまでもマーロン・ブランドな映画。つまり、どこまでも過剰。でもブランドをたっぷり楽しむためには1時間や2時間じゃあ足りない。(144分です)
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 泥まみれが似合うブランド、異常にハッタリ効くのもブランド、打たれ強いブランド(前提としてボコボコにされる)、ラブシーンがぎこちなくてもブランド(でも力業を使用)、とにかく手の早いブランド(ケンカも女も)。ブランドの見所満載。悩めるアンチヒーロー。それこそがブランドによく似合う。

 相棒が「立派な保安官」やっているからこそ、余計に憎々しいのだ。ならず者のガンマンの世界から足を洗えてしまったこと、嘘を付かなくていい人生になったことが許せないのだ。忘れろって言われても、5年の刑務所暮らし、手は砕かれるし、無実の罪まで着せられて、できるか!この人、抑圧をはね除け爆発する『波止場』みたいな役がほんとによく似合うねえ。嫌いな人は、嫌いだろうなあ。こういうの。でも感情移入しちゃうなあ。

 大変嘘臭いラブシーンも、まあ、よしとしよう。「これは母の形見なんだ」で女をものにするブランド(なんじゃそりゃ)。そういう奴が純真な少女には心を開くが拒絶され、そして受け入れられるなんてのはベタといえば、もうMAX級にベタだけどまあいいさ。軽妙洒脱なブランドなんて想像するだけで笑えるからね。

 彼のガンプレイについては何も言うまい。ほとんどがハッタリでございますから。肉弾戦向きだよ。でも銃をホルスターではなくてパンツに直接つっこんでるのはらしくていいと思う。海辺の修行には目をつむろう。ああ、潮風が目にしみる。

 そしてラスト、あの決闘、やはり後ろから撃たなければ。後ろから撃つ、その卑怯なやり方で、彼はやはりアンチヒーローだったとわかるし、より憎しみが伝わっってきた(私には、ですよ)。そして彼は一途で純真な面もあるから(と勝手に決めつける)、彼女と一緒になれてもなれなくても、そのことが一生こびりつくだろう。復讐の後、残るのは寂しさ。自分は愛に値しないと思ってしまうほどの罪悪感。そう、ガンマンにはその限りない寂寥感がなくては!

 マーロン・ブランド、この人自分のいいとこ悪いとこしっかり知ってるんだなあ。何で他に監督業やんなかったんだろ?そしてどうしてここでこんなに評価低いの?あれ〜?

(評価:★5)

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