冒頭のシークエンスが最高です。わずか10分で、3Dメガネの下に涙を流させたてくれました。『ＷＡＬＬ・Ｅ』もそうだったが、台詞のないサイレント映画のような演出で感動させられると、不思議と映画の素晴らしさまでも感じさせてくれる気がします。本当、小道具の使い方や細かなシーン作りに関して、ピクサー作品の巧さは光る！ これは技術だけの問題ではないんですよね。

もちろん、映画全体を楽しんで観られたことは言うまでもないが、冒頭での感動を超える瞬間は、結局最後まで訪れなかったのが残念ではあります。物語は過去を捨てて新しい一歩を踏み出すストーリー。憧れの冒険家が怪鳥にこだわるように、カールじいさんは妻と住んだ家にこだわる状況から悪役への共通点も見出していたりと、構成としては見事な作り込みを感じさせるのだが、それでもクライマックスの高ぶりは大きくならないのです…。

それだけ冒頭が素晴らしすぎた。それは捨てられない…。