あまり予備知識なく見たが、社会派サスペンスがと思っていたら、内容深い社会派ドラマの要素が強かった。豪華キャストで固め、家族、恋人、友達の関係を掘り下げて描いていた。俳優陣はベテラン勢は無難に役をこなしているし、シャーリーズ・セロンは『スウィート・ノベンバー』よりこの映画での役柄の方が断然良かったし、ホアキン・フェニックスは相変わらずの存在感で良かった。彼は演技面で言ったら兄リヴァー・フェニックスを越えてるかもしれない。ただ、主役のマーク・ウォルバーグに限っては少し存在感が弱い気がした。なのでレオではなくウィリーをつい中心にして見てしまった。

　社会派ドラマとして見応えもあり（もう少し上映時間を長くしても良いくらい。もっと魅せる力はある）、良質の出来といえる。ただ、後半のレオの心情に不満が残り、しっくりこないとこもあったので、良い映画とは言え見た後の心境は複雑だった。ジェームズ・グレイは良い監督だとは思ったが、意識的な暗い雰囲気が少しわざとらしくて気に障ったのが気がかり。もっとこの映画にふさわしい宣伝をすれば興行的にお寒い結果にはならなかったかもしれないのに。少し勿体ない。