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[コメント] 1984(1984/英)

我々はこの映画と違い、如何なる叡智にも、如何なる思想にもアクセスすることが許されている。・・・なのに、今は自らその自由を放棄している時代でもある。
新町 華終

実は現代劇であったと思われるこの作品。 民衆は常に騙されるフリをしているが、実は個人が個人のコトしか考えていなく、思想的支配をルーティンにこなしただただ生産と消費を繰り返している。自分たちで情報を取捨選択しているつもりでも、価値観が多様化しすぎたおかげで逆に人間の三大欲求の一つ「集団欲」が表面化してしまう結果となっているように思う。色は違えど根本は共有というマジョリティが日本にも形成されつつある。

かつてはソビエト、今は北朝鮮などにおいて、共産主義社会によく見られた腐敗の構造であるが、実は今のアメリカや日本を見ると、資本主義経済においても結局のところは行動原理は一緒なのではないかと疑わざるを得なくなってくる。

民衆はモニターから与えられる情報にかじりつき、新商品やら何%UPと言う情報を無意識に雪崩のごとく受け止める。なるほど確かに恋愛やオルガズムの追求(性交渉)は今の社会は自由かもしれないが、いずれにせよ性の解放も規制も実は「去勢」となることには違いないと思う。

そう考えると、この映画の世界に限らず、現実社会についても長年固定化された社会のシステムという物は実はこの映画のような閉塞された階級管理社会という物にいつでも辿り着くのではないか?という仮説をふと思い出すのである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)YO--CHAN[*] 水那岐

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