どうしようもなく、答えを出せない状況というものを戦争は作り出す。確かに言えるのは人が死ぬということだけ。あえて答えるならば、何も出来ることはないと言う無力感てことになるだろうか。ラストで、地雷の上に横たわった兵士を見捨てるように徐々に遠ざかって行く映像がその無力感を如実に物語っている。

遠ざかって行くカメラの視点は、紛争を遠くから見ている私たちの視点でもあるのだろう。遠い所での出来事というのは、報道されれば一時的に関心は寄せるが具体的に出来ることは殆んどなく、徐々に関心は薄れてしまう。そして私たちは日常生活のごたごたの中に戻って行くというのが現実なのではないか。まあ当事者でもあった監督の「おまえらどうせ何もできないんだろ」と言う皮肉と取ってもいいのだろうけど。

鑑賞後、無力感に打ちのめされつつ思い浮かんできたことは、やっぱ戦争はいかんという単純なメッセージであった。

「備えあれば憂いなし」ではなくて「いくら備えたって憂いだらけ」なのが戦争なんじゃないか？　小泉さんよ。