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[コメント] 12人の優しい日本人(1991/日)

そこまで驚くほどの出来ではないな。

うーん、惜しいけどちょっと中途半端だったかな。

パロディを通しての「日本人考察」は素晴らしい。日本人はこういう人達ってのは本当によく表現している。でも逆に言えば、あくまでオリジナルがあってのパロディであって、シリアスでシンプルなオリジナルを色々装飾して「日本人」を表現したコメディなんだよね。映画の中の日本人の表現は上手だけど、全体的にコメディとしてドラマとしてそこまで凄い映画とは思わんのだけどな・・。テンポは完璧とはいえないし、優れた脚本も少しこねくり回しすぎで疲れる気もする。黒澤映画観た時もよく同じ事思うんだけど、「練った脚本」→「優れた映画」じゃないんだよね。ここまで日本人の特徴を表現しまくりながらしゃべるのもちょっとわざとらしい。それが純粋なコメディならアリなんだけど、半分真面目にドラマやってるからちょっとチープにも見える。俺の中では典型的な「惜しい映画」のパターン。舞台としては面白かったのかもしれんけど、映画としてはあくまでパロディ。ていうか長い。脚本読んでるときが一番楽しそう。

オリジナルを見てない人にとって十分面白い作品だろうけど、でもそれでパロディではないとか、オリジナルを超えたとか、単品で評価するべきとか、そうは思わないんだよね。単品でどうっつったって、単品としてのこの映画の面白さの内の何割かは、オリジナルのネタによるものだから、パロディじゃないってんなら、パクリになっちゃうよ。パロディかパクリのどっちかしか選べんでしょう。だから三谷はただネタをパクるんじゃなくてちゃんと潔くパロディという形にしたのでしょ。これは偉いと思う。だから俺はよく出来たパロディとして評価するけど、惜しいのはもっとオリジナルに近い面白さを排除して、コメディに徹して欲しかった。日本人考察も別にそれが良く出来たからって映画が面白いとは限らないからね。「面白いなあ」っていうより「うまいなあ」とか「わかるなあ」ってだけなんだよな。一つ一つの描写が上手いってだけで面白い映画ってもんじゃないでしょ。それを笑いに還元する方向に徹して勝負して欲しかった、個人的には。ちなみに『ラヂオの時間』は好き。

また一つ「惜しい映画」リスト殿堂入り。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)煽尼采[*]

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