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[コメント] バンディッツ(2001/米)

まともに生きるには老けすぎて、潔くくたばるには若すぎて……アメリカン・ニューシネマというよりも、『パルプ・フィクション』の(技巧的な部分ではなく)心情的な部分に図らずもシンクロしちまった、いまだ宙ぶらりんなろくでなしどもの同窓会みたいな
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 レビンソンの『ワグ・ザ・ドッグ』タッチが、より相応しい媒介(ネタ)を得て、冴えまくっている。開けっ広げにご都合主義な設定と荒唐無稽な展開を、相応のキャラ造りと絶妙の漫談と確信的に緩い演出で紡ぎ、極めてロマンティックに仕上げている。ウィリスには全く余計なことをさせず、まるで置物扱い。その周りを旋回させるように、ソーントンだけを立ち回らせる。各々の扱い方としても、コンビの組ませ方としても、最良の演出と言っていい。そこへもってきて、赤毛のブランシェットの垢抜けさ加減といったら、もう……キッチンドランクでスクールウォーズ熱唱してたらハートブレイクしちゃって挙げ句にクラッシュだなんて、かわゆすぎる。

 とにかく、“緻密にズレた”シチュエーション造りとそこでの台詞回しが絶品。最初に“お泊まり”した家庭での晩餐シーンをはじめ、全編くすぐり地獄の刑だった。

 難点を挙げるとすれば、三角関係となってからの個々の描写が消化不良だったこと、それ故、出来過ぎのラストが無味乾燥になってしまったこと。良くも悪くも、その辺がレビンソン。全くのハッピーエンドもさることながら、会話の節々にも、タランティーノほどの毒気が感じられない。もう少し、例えばエルモア・レナード調のチリ系スパイスが利いたラストだったら、迷わず5点だった。

(評価:★4)

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