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[コメント] リズと青い鳥(2018/日)

凄く魅力的な話。希美は輝かしいばかりの子で、陰鬱さを隠さないみぞれが絶対的に手放したくないのが非常によく判る。それだけに、後半の物語が童話の寓意をただ辿っているだけなのを惜しむのだ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







監督の山田尚子が才人だということは、あまり作品をまだ観てもいない俺であってもよく判るのです。前半の希美にはほんとうに惚れてしまった俺であるから。それだけに、あからさまに物語のターニングポイントで作為が見えるのが惜しいのです。

要するに、鑑賞者がそれまでウザいというか、ヲタ野郎の共感の対象ですらあったみぞれがヒロインらしい魅力ある人物に成長し、かたや明るさと積極性を振りまくチャームの塊だった希美が親友に嫉妬するだけの陰気な小人(しょうじん)に成り下がってしまうのが、あまりにも急激にして作為的ではありますまいか。みぞれの隠れた才能に後輩や教師が気づくためにはそれなりのきっかけが欲しいし、希美がそれごときに我を忘れるほどみぞれに執心している様子も見えません。「リズと青い鳥」の寓意に絡めとられているだけのふたりではちょいとガックリです。みぞれを魅力的なキャラとして育て、希美もまたその美点を失わぬままに対位置を変える。そういうマジックが観たかったわけで…。

しかし、エンディング近くでは、遅まきながらにしろふたりのどちらかを落とさずに仲を修復してくれたのは嬉しかった。やっぱり生き生きとした女の子たちが俺は観たいわけで、どっちがリズで青い鳥なのかなんていうメタファーの話なんてどうでもいいんであるのです。ハッピーアイスクリームでいいのです。

そういうことです。4点に限りなく近い3点。

(評価:★3)

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