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[コメント] 復讐するは我にあり(1979/日)

罪なき者に、まず石を投げよ。…それが復讐だ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大馬鹿野郎なので、この題名の意図がよく判らない。この連続殺人のなにが復讐であり、誰に対して為されているのか。強いて挙げれば父なのか。クリスチャンであるために軍から船を徴用され、それでもペコペコ土下座していた父に対してなのか。それが嵩じてキリスト教会へなのか。

この程度で話を進めさせてもらうが、有名な「罪なき者がまず石を投げよ」という教えがあるけれども、緒形拳はこの言葉に反することをし続けてきたのかもしれない。彼は殺人の前にその者と親しくなることを避ける。もし親しくなってしまったら、その罪を悔いていることを懺悔に耳を傾ける神父のように聞く。罪はその時点でどうでもよいものになるからだ。贖罪する者、天国へ行ける「資格」のある者だけを彼は殺す。それが彼の復讐だ。

失笑を呼びそうな話だが、深作監督の『魔界転生』で、天草四郎がこの映画のタイトルの文句を叫んでいた。結構ハマっていたように見えたのは、それが神への復讐の文句だったからだ。それは父への復讐に等しい。やろうとして一番難しく、復讐のエクスタシーに浸り辛い復讐だ。それでも父に石を投げようとした緒形は絞首刑を受け、奇しくも父によって遺骨を地にばら撒かれる事になる。

緒形の復讐は成ったのか。それはラストの三國の表情が雄弁に物語っている。

(評価:★4)

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