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[コメント] 大魔神(1966/日)

♪コーンコン、コーンコン、釘を刺す、藁の人形、血を流す…♪日本はアニミズムの呪いと恨みの神がほぼ原形をとどめたまま残っている、世界でも稀有な国家である。
水那岐

まだ仏教が残っているから世に慈悲の大切さは重視されているものの、天皇制が戦前の苛烈さと無情さをもって支配を続けていたなら、この国の民には落ち着くべきところはなかったに相違ない、なにせ「廃仏毀釈運動」なんていう暴挙が行なわれたくらいだから。(神道が絶対として仏閣、仏像はぶっ壊す運動のことです)

キリスト教やイスラム教の父であるユダヤの唯一神にしても、出自は無慈悲な嵐のデーモンだったらしいが、世界文明の進歩に従って、慈悲深い母性をも併せ持つ神に変貌を遂げている。それを考えれば、随分乱暴な先進国が残っているものだ。

もちろん「自然こそ神」なのだから、優しい時はとても優しい。これは『となりのトトロ』を見れば子供にでも判りやすいことだ。そして皇族も、武家に担ぎ上げられなければ風雅に歌など詠んで暮している、きわめて穏やかな方々だ。

それが政治と結び付けられるとおかしくなる。この映画は、それを雄弁に教えてくれる。自らを盲目的に信ずる者以外には、徹底的に残酷な神。それがこの国の「荒ぶる神」なのだ。

なーんて、娯楽特撮時代劇に茶々を入れてみても始まらない。でも、「オレは宗教なんて知らんもんね、マッタク」てな方があまりにも多すぎるので、若い人もこれくらいは知っときなさいよ、てんでジジイが申しました。ただの戯言ですよ、ごほごほ。

(評価:★3)

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