♪　嘘で終わった恋なんか捨てて忘れてしまいたい。男の意地も〜♪と歌う森進一の「一人酒場で('95吉川静夫/猪俣公章)」が、それだ。作者が何故この曲を入れたのかを考えると、よく知っているなぁ(発表が同年)と思うし、又恐ろしい程の感受性だと思う。

女(パートナー)は「このぬくもりは永遠だ」と言う。少し踏み込んで、「永遠に続いてほしいもの」と解釈すると、この金城（お父さん他諸々を失くした）を殺し屋に仕立て、彼女はまた殺し屋稼業を続けるのだ。

そして金城がいつかこの稼業に疲れ、そして美しいが‘普通の生活に不向きな女’に倦んで別れを切りだした時、彼女は今回と同じように特別な指令を出して金城を殺させるのだろう。

こんなこの世界の閉塞感の何と魅力的なことか。人はこうして堕ちて･･･、いやいや落ちる人間は最初から堕ちているのだろう。